現役日本語教師の日本語豆知識

日本語教師ってどんな仕事?第11回 日本語教師に求められるもの(1)

公開日:2015.06.29 更新日:2023.04.26

先週からスタートした「日本語教師に求められるもの」シリーズ。
今日からいよいよ本格的にスタートです。

その第1回目は、ズバリ!
日本語教師の頭の中」です。

皆さんは「日本語教師の頭の中」ってどうなっていると思いますか?

・国語辞書が1冊入っている(いわば、「歩く国語辞書」)
・テレビの「日本語」クイズに全問正解できる(=日本語オタク

とイメージしますか?
(というより、そうでなければ、教えられないと思っていますか?)

もし、そんなイメージであれば、それはちょっと違います

日本語教師だって、辞書は引きます(常に手元において、調べています)。
日本語教師だって、テレビの日本語」クイズに間違います
(知らないこともたくさんあります)。

特に、『テレビの「日本語」クイズ=日本語教師が教える日本語』という
イメージをお持ちの方に伝えたいのは、
あの内容を教える場面はほとんどありません!」ということです。

私たち日本語教師の頭の中には、あのクイズより、
もっと、もっと根本的なことがたくさん入っています。

例えば、先週金曜日のブログに書いたように「ある」と「いる」の違いとか、
「これ」、「それ」、「あれ」ってどういうふうに使い分けているの?とか。
(今度、機会があるときにブログで触れたいと思います)

つまり、
普通の日本人なら「当たり前」過ぎて、国語辞書すら引かないような言葉や
テレビの番組担当者が「クイズ」にしようとも思わない「普通の」言葉について
のルールや使い分けが頭の中に入っています。

なぜなら、
外国人はそういった『日本人にとって「当たり前」で「普通」の言葉』が
「なぜ?どうして?」だからです。

ですから、日本語教師の頭の中は
普段、私たちが無意識に使っている日本語についてのルールと使い方
が入っているのです。

次回は、その頭の中について、もう少し詳しくお話します!

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。