現役日本語教師の日本語豆知識

「横書き」と「縦書き」

公開日:2015.06.17 更新日:2023.04.26

「横書き」と「縦書き」。

最近は「横書き」の方が優勢でしょうか?
日本語を勉強する人たち用のテキストも「横書き」がほとんどです。

ただ、実生活では「縦書き」もまだまだ使われていますよね。
新聞、本、マンガ・・・など。
ですので、授業では「縦書き」についても教えます。

「縦書きなんて、そんなの横のものを縦に書くだけだから、簡単でしょう?」
と思った方。
まだまだ、「日本語教師」にはなれません!!
「横に書いていたものを縦に並べる」なんて、
そんな単純なことではないのです。

例えば、

縦書き1

こんな風に「イーメール」の「-」を縦に書かず、漢字の「一」のように
横に書いてしまいます。
(まあ、これは日本の子供にも見られることなので、あまり驚きません)

他には、

縦書き2

「今日」という熟語を「今」と「日」縦に並べず、
「熟語だからひとかたまりで」と横に書いてしまう人もいます。
(これは、「なるほど!そう考えたか~」という感じでしょうか?)


更に上手[うわて](?!)になると、

縦書き3

「私」という漢字を「禾」と「ム」に分解して
「縦書き」にしてしまいます・・・。
(これは、「普通の日本人」には想像できませんよね・・・)


こんな風に、「横書き」、「縦書き」を教えるだけでも、
注意しなければならないことがたくさんあります。

「外国人に日本語を教える」というのは、
いかに自分の頭の中から「日本人なら当たり前」をなくして、
「外国人から見た日本語」の頭に切り替えられるかが重要
なのです。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。