現役日本語教師の日本語豆知識

私は男?!

公開日:2015.06.10 更新日:2023.04.26

ある学習者が、どこで聞いたのか(習ったのか?)、まだ学習していない
「~みたい」「~らしい」という言葉を使うようになりました。

日本で勉強している学習者たちは、教室外で新しい日本語を
聞き覚えてくることが多いです。
ですので、教えていない日本語を話してくるということは、
それだけ彼らが外で積極的に日本語を使い、日本語に触れている
ということなので、喜ぶべきことです。

が、・・・・。

この学習者の場合は、ちょっと困っています・・・。

なぜなら、

「先生は 女みたいですね~。」
「先生は 男らしいですね~。」

と言ってくるからです。

この文だけ見れば、『何で困るの?この先生は「」なんでしょう?』と
思ったのではないでしょうか。

でも、でも・・・!!
私は女なんですよね~・・・・。

だから、
「先生のシャツは ピンクですね。先生は 女みたいですね♪」と言われると、
「・・・。私は女ですよ~♪ハハハ・・・。 」と苦笑い。

誤用であることを教え、何度も指摘しているのですが、なおりません・・・・。

彼の頭の中には、「みたい」と「らしい」が反対になって、
インプットされてしまったようです。
これを打ち崩すのは、苦労するだろうな・・・と、
「みたい」&「らしい」の授業が思いやられます。

子供と同じで、「最初のインプット」が重要な日本語学習。
気を付けないといけません・・・。


(余談)
私の先輩(女性)がある人に、「女々しい!」と言われた時、
「だって、私、女ですから!!」って答えていたなぁ・・・。

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。