現役日本語教師の日本語豆知識
外国人にとって分かりにくい文字
公開日:2015.05.20 更新日:2023.04.26
監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
日本語の勉強の最初は、「文字」を覚えること。
学習者たちは何度も練習して、覚えます。
そして、「ひらがな」、「カタカナ」を覚えた学習者たちは、
外で見る看板や案内板に自分の読める文字があると大喜びで、
「あ!」、「イ!」などと読み上げています。
そんな彼らが「分かりにく~い!!」と口を揃えて言う文字があります。
それは・・・
カタカナの「ン」と「ソ」。
もちろん、この文字を人が手書きした場合や明朝体で書かれている時は
学習者も判別できます。
しかし、看板などによくある「ポップ体・太字」の場合、
「ン」なのか、「ソ」なのかの判別が難しいとのことです。
特に縦看板の場合、限られた長さの中に、文字を入れていくので、
文字自体が少し潰れ気味になりますよね。
そんな看板があると、私も学習者からよく
『あれは「ン」ですか、「ソ」ですか???』と質問を受けます。
よく見ると微妙な違いがあるのですが、パッと見たときには、
「う~ん・・・。確かに判別しにくいなぁ・・」と思います。
皆さん、今度街を歩くとき、看板の「ン」と「ソ」の文字に注意して、
見てみてください。
日本語を勉強する外国人の気持ちがちょっぴりわかるかもしれません。
(余談)
私の中学時代の同級生(日本人)は駅の案内板の
「降り口(ぐち)」を
「降りロ(ろ)」と
最後の「口」をカタカナの「ロ(ろ)」と読んでいました・・・・。
彼女曰く、『「降りろ!」って命令口調だよね』。
クラスメイト「・・・・・。」
この記事の監修者
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。