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「●ぬ」で終わる動詞

「食べる」、「飲む」、「話す」、「書く」・・・など。
日本語には多くの動詞があります。

日本語の動詞の大きな特徴は
「辞書形(注1)がすべて五十音表のウ段の音で終わる」
というものです。
「食べ」、「飲」、「話」、「書」・・・。全部ウ段の音ですね。
(注1)「辞書形」:国語辞書に掲載されている形。
     国語の文法で習った「終止形」のことを日本語教育では「辞書形」
     と言います。

更に、もう少し詳しく見てみると、動詞の辞書形は、ウ段の音すべてを使って
いるわけではない
ことが分かります。

ウ段の音は「う く す つ ぬ ふ む ゆ る」で、これに濁音、半濁音の
「ぐ ず づ ぶ ぷ」を加えて14です。
(「きゅ、しゅ、ちゅ」などの拗音で終わる動詞がないことは明らかなので、
ここでは除きます)

そこで、皆さん。ちょっと考えてみてください。
「●う」、「●く」、「●す」・・・とそれぞれのウ段の音で終わる動詞の例を。

「●ふ」、「●ゆ」、「●ず」、「●づ」、「●ぷ」で終わる動詞は一つもない
ことに気づきませんか?
(古語に範囲を広げればありますが、ここではあくまで今の日本語の範囲で)

更に、「歌う、笑う」、「書く、聞く」、「話す、刺す」、「立つ、持つ」、
「読む、飲む」、「座る、起きる」、「泳ぐ、脱ぐ」、「遊ぶ、結ぶ」などは
複数の動詞の例があるのに、「●ぬ」で終わる動詞は「死ぬ」しかないことに
気づきましたか?

そうなのです。
日本語の動詞で「●ぬ」で終わる動詞は「死ぬ」一つなのです。
古語に範囲を広げれば「往(い)ぬ(または、去ぬ)」がありますが、
それでもたった二つです。
しかも、「往(い)ぬ(去ぬ)」にも「死ぬ」の意味があります。

どうしてなのでしょうか?
「●ぬ」で終わる動詞が「死ぬ」と「往ぬ(去ぬ)」という、どちらもこの世から
行ってしまう意味の言葉。
理由は分かりませんが、昔の日本人の「ぬ」に対する感覚のようなものを
感じてしまいますね。

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