現役日本語教師の日本語豆知識
お話?ご話?「お」と「ご」の使い分け
公開日:2015.12.07 更新日:2024.08.29

監修者情報
ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
ジョンさん:先生、先週勉強した敬語で、「お」と「ご」の使い方が
わかりません。
「お話?ご話?」、「お連絡?ご連絡?」。
日本人はどんなときに「お」を使って、どんなときに「ご」を
使うのですか。教えてください。
新米先生:え~っと・・。それはですね・・・。
さて、皆さんは、「お」と「ご」をどう使い分けていますか?
正直なところ、あまり意識せずに、使い分けているのかもしれません。
しかし、実は「お」と「ご」の使い分けにはルールがあります。
それは、
「お」+和語
「ご」+漢語
というルールです。
和語というのは、いわゆる「やまとことば」と言われるもので、もともと
日本に存在していた固有の語です。
一方、漢語というのは、昔、中国から伝来した語です。
例えば、「山」という漢字を「やま」と訓読みすると和語ですが、
「サン」と音読みすると漢語となります。
今日のブログの最初にあるジョンさんの質問には、
「話(はなし)」は和語だから、「お」を使い、
「連絡(レンラク)」は漢語だから、「ご」を使う
と教えます。
この「お+和語」、「ご+漢語」というルールは、かなりしっかりしたもの
なのですが、ルールがあるところには、例外も必ず存在する・・のでしょうか。
外国人を悩ませるものもあります。
例えば、「誕生」という語。
「誕生」はルールに従えば、「ご誕生」なのですが、「お誕生日」のように、
私たち日本人は「お」も使います。
他にも、「時間」は漢語なのですが、「ご時間」ではなく、「お時間」と
言います。
どうしてこのような「ゆれ」が生じているのか・・という理由は、
「漢語と和語の区別が簡単につかない(もしくは、意識しない日本人が
増えてきた)」とか、『「お」の持つやわらかい語感の方が「『ご」の持つ
かたい語感よりも好まれるようになってきている』とか、色々ありますが、
どうなのでしょうか。
例外もある、ということも理解しながら、自分の「お」と「ご」の使い分けが
ルールに沿っているか考えてみると、面白いかもしれません。
◆◇◆ 次回(12/14)、予告 ◆◇◆
日本語を勉強する外国人が「?」と思う日本語はたくさんありますが、
次の日本語も彼らにとっては「???」です。
A)私は彼女と結婚することにしました。
B)私は彼女と結婚することになりました。
さて、皆さん。このA)の文とB)の文、どう違うのでしょうか?
答えは、来週月曜日に。
この記事の監修者

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師
《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格
《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。
《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。
《監修者からのコメント》
日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。