現役日本語教師の日本語豆知識

日本語教師ってどんな仕事?第13回 「身振り、手振りははっきりと!」

公開日:2015.07.13 更新日:2023.04.26

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

日本語教師をしていると友達や家族にこんなことをよく言われます。

(友達・家族)「●●(私の名前)って、リアクション、大きいよね」
(私)    「・・・・??

自分ではそんなつもりはないのですが、よく言われます。
(家族は「ちょっと恥ずかしい」とまで言います・・・。ガーン・・・。)

テレビのお笑い芸人のように思いっきりずっこけるとかではなく、
例えば、「そう、そう。」という時に頭を何度も上下に振るとか、
「ちがう、ちがう。」という時に、手をやたらと左右に振るとか
そういう日常的な動作が周りからみると
リアクション、大きい」ということのようです。

でも、実は、これ。
日本語を教える立場から言うと、とても大切なことなのです。
特に、日本語を勉強し始めたばかりの学習者は言葉がわかりませんから、
教師は「身振り、手振り、体を全体を使って」理解を促します。

そんな時に小さな動きで、ちょこちょこっとやっても、
学習者は誰も気づきません。
ですから、大げさなぐらいに「はっきりした身振り、手振り」が求められます。

他にも、会話を教えている時によく出てくるええ。」という言葉
文字にすると「ええ。」だけですが、
「はい。」の意味で言う時と、驚いた時と、イライラしている時に言うのでは、
イントネーションも、表情も異なります
辞書には「ええ。」についての説明は書いてあっても、
イントネーションや表情は書いてありませんから、
教師が実演するしかないわけです。

養成講座で勉強している頃は、私も、クラスメイトもみんな恥ずかしがって
できませんでしたが、実際に教壇に立つと、「恥ずかしい」なんて
言っていられません。「理解させる」のが教師の仕事ですから、
まるで役者のように「演技をするわけです。

これから日本語教師を目指そうという皆さん。
周りの人から「リアクション、大きい」と言われるぐらいが、
学習者にとっては分かりやすい身振り・手振りだということを
頭に入れ、今から磨きをかけておいてください♫

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。