現役日本語教師の日本語豆知識

日本語教師ってどんな仕事?~第1回:日本語教師はバイリンガル?!~

公開日:2015.04.20 更新日:2023.04.26

毎週月曜日は『日本語教師ってどんな仕事?』をテーマに、
ブログを書いていきたいと思います。

では、記念すべき第1回。
『日本語教師はバイリンガルなのか?』です。


初対面の方に「どんなお仕事をされているのですか?」と聞かれて、「日本語教師です」というと、
「えー、ということは英語が話せるんですか!!すごいですね!」と100%に近い確率で言われます。
皆さんも、そう思いますか?
(実は、私も最初はそう思っていました・・・。)


そのイメージは、今、ここで捨てて構いません。

「外国語が話せなくても日本語教師にはなれる!!!」

これが事実です。

では、【外国語が話せなければ日本語教師にはなれない】と思っていた方は考えてみてください。
  ↓
あなたは英語を習っています。
同じクラスには中国人の李さんとフランス人のエレーヌさんがいます。
先生はイギリス人ですが、中国語とフランス語が少し話せます。
授業中、エレーヌさんがフランス語で先生に質問をしました。
それを聞いた李さんが今度は中国語で質問をしています。
あなたも質問がしたいけれど、先生は日本語がわかりません。
そんなとき、あなたはどんな気持ちになりますか?
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とてもさびしい気持ちになりませんか?

日本語のクラスにはいろいろな国の学習者(※)がいます。
彼ら全員が英語が話せるわけではありません。
(※)日本語教育では生徒のことを【学習者】といいます。


では、教師が学習者(※)に合わせて何ヶ国語も話せるようにしなくてはいけないのか。
・・・・無理ですよね。
日本語教師になるまでに力尽きてしまいそうです・・・。
     

では、学習者、教師全員の【共通言語】はなんでしょうか?


そうです!!
今まさにクラスで勉強している『日本語』なのです!!

ですから、多くの日本語学校では「日本語を日本語で教える」のが基本です。


「日本語教師はバイリンガル」ではありません!
「外国語ができなければ、日本語教師になれない」ということはありません!


どうですか?
日本語教師のイメージが変わりましたか?

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この記事の監修者

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松田 良子 Ryoko Matsuda

ルネサンス日本語学院 日本語教師養成講座講師

《資格》日本語教師養成課程修了・日本語教育能力検定試験合格

《経歴》日本語教師養成講座を修了後、約30年に渡り、大使館、留学生、インターナショナルスクール、企業などで日本語教育に従事。また、(社)国際日本語普及協会の「地域日本語教育コーディネーター研修」修了後は、地域の日本語教育、ボランティア支援や教育委員会日本語研修プログラム、NHK文化センター、一部上場企業などへの日本語教育コーディネイトや日本語教師養成に携わり、日本語教育総合支援など多方面で活躍中。

《専門分野》就労者・生活者・年少者に対する日本語教育。

《監修者からのコメント》

日本語教師の勉強は、「知識」だけでも、「技術」だけでもだめです。 両方揃って初めて「学習者」という同乗者が安心して授業を受けられます。単なる知識の講座ではなく、皆さんより少し先を歩く私たち現役日本語教師が考え、悩み、苦労してたどり着いた答えを多く取り入れた「現場目線」を意識しています。
私自身、国語教師を目指し、日本語の文法にも自信があったにもかかわらず、「こんにちは。」の使い方を外国人に教えられなかった…というショックから、「日本語」に興味を持ち、日本語教師になりました。日本語教育業界は、わかりやすそうでわかりにくいですから、この業界の専門知識のある人に相談することがおすすめです。ぜひお気軽にお問い合わせください。