大阪校ブログ

【授業で使える】"多文化共生"をテーマにした日本語教材案

2025.07.11

こんにちは!
ここ数年、日本語教育の現場で急速に重要性が増しているキーワードがあります。それが 「多文化共生」

日本語を教えるだけでなく、学習者の背景や価値観に目を向けることが求められる今、「多文化共生」は避けて通れないテーマです。

今回は、日本語クラスで扱える「多文化共生」をテーマにした教材案をご紹介します。中上級向けの話題が中心ですが、初級後半から導入できるアイデアもあります。


◆ そもそも「多文化共生」って何?

まずは学習者と一緒に、基本概念を確認しましょう。

Q.多文化共生とは?
国籍や文化的背景の異なる人々が、互いの違いを尊重しながら、地域社会の一員として共に生活していくこと。

☆ 導入活動(中級〜)

  • 写真を見せながら「これはどこの国の文化だと思いますか?」

  • 「あなたの国に外国人は多いですか?」と聞いてみる

  • キーワードマッチング(例:在留外国人/文化の違い/偏見/地域社会)


◆ 教材案①:意見交換・ディスカッション(中上級)

テーマ例:「あなたの町に外国人が増えたらどう思いますか?」

☆ アクティビティの流れ

  1. データを読む(在留外国人数など、グラフや表)

  2. 意見文を読む(多文化共生に賛成/慎重)

  3. 小グループで意見交換(YES/NOチャートを使って)

  4. クラス全体でディスカッション

★ ポイント:
肯定・否定の両方の視点から考えることで、論理的思考力が養われます。


◆ 教材案②:エピソードから学ぶ(初中級〜)

テーマ例:「文化の違いでびっくりしたこと」

☆ アクティビティの流れ

  1. 実際の体験談(教師または動画素材)を読む/見る

  2. 「このときどう思った?」「あなたならどうする?」と考える

  3. 自分の経験を書いて、クラスで発表

★ 教材例:

  • 留学生の体験談(例:「時間にルーズと言われた」「家で靴を脱ぐ習慣がない」など)

  • 短い動画素材(YouTubeやJICA、国際交流基金の教材など)


◆ 教材案③:社会問題として扱う(中上級)

テーマ例:「技能実習生」「やさしい日本語」「ヘイトスピーチ」

☆ アクティビティの流れ

  1. 新聞記事を読む(簡略化した読みやすい文章が◎)

  2. 内容理解 → 語彙整理

  3. 意見交換:「どうすればよりよい共生社会になるか?」

  4. 問題提起型のスピーチ or エッセイを書く

★ 活用サイト:

  • NHK「NEWS WEB EASY」

  • やさしい日本語ツールキット(出入国在留管理庁など)


◆ 教材案④:ロールプレイで体験(初級後半〜)

テーマ例:「外国人として住む日本」

☆アクティビティの流れ

  1. 登場人物カードを配る(例:留学生/コンビニ店員/町内会長)

  2. 地域イベントの設定(例:ごみ出しルール、夏祭り)

  3. 立場に応じて「言いたいこと」「聞きたいこと」を考え、話し合う

★ ポイント:
言語だけでなく「立場の違い」を体験できるアクティビティ。
「伝えにくさ」や「誤解の原因」が実感できます。


◆ 授業で意識したいポイント

✓ 正解・不正解ではなく「多様性」を尊重
✓学習者自身の経験や感情に紐づける
✓ 社会の中で"使える日本語"を育てる


◆ まとめ:「教科書の外」にある学びこそ、共生のヒント

多文化共生は、ただ知識として学ぶのではなく、実際の生活や人間関係の中で考えるべきテーマです。

私たち日本語教師ができるのは、学習者が「ことば」を通して、他者や社会とつながるサポートをすること。
その入口として、こうした教材を活用してみてはいかがでしょうか。