大阪校ブログ

初級から上級まで、授業設計で気をつけていること

2025.07.02

~学習者の"今"に寄り添う教え方とは?~

こんにちは!
日本語教育の現場では、初級から上級までさまざまなレベルの学習者と関わりますが、教える内容だけでなく「教え方」もレベルによって変える必要があるのはご存知でしょうか?

今回は、実際に私が授業設計をする上で気をつけているポイントを、レベル別にご紹介します!


初級クラス:まずは"伝える"ことが最優先

初級の学習者は、まだ日本語に慣れていない段階。
授業では「何を教えるか」だけでなく、「どうやって理解してもらうか」がカギになります。

気をつけていること

  • やさしい日本語ゆっくり・はっきりした話し方

  • 絵カード・実物・ジェスチャーを使って視覚的にサポート

  • 文型を導入→練習→使ってみる、のステップを丁寧に

  • 「通じた!」という成功体験を大切に

ポイント:"ことば"を教える前に、"意味"が伝わる状況をつくることが大切です。


中級クラス:自分の考えを"形にする力"を育てる

中級になると、ある程度の語彙や文法が身についてきますが、自分の言いたいことをうまく伝える力はまだこれから。

気をつけていること

  • 会話活動やスピーチを通じて"考えを整理する力"を育てる

  • 文法の運用練習(「〜そうです」「〜てみます」など)を会話に繋げる

  • 実生活に近い場面設定(例:電話応対、買い物、道案内)を多用

  • ペア・グループ活動でコミュニケーション力を鍛える

 ポイント:文法知識を「使える日本語」に育てていくのが、中級の授業設計の核心です。


上級クラス:論理的な表現力と、柔軟な受け答え

上級では、日本語そのものの誤りは減りますが、「自然さ」や「論理性」「多様な話題への対応力」が求められます。

気をつけていること

  • ニュース・評論・資料など実際のテキストを使用

  • ディベートや意見交換で深い思考を引き出す授業展開

  • 敬語・表現のバリエーション(言い換え)を強化

  • 学習者の背景や関心に合わせたテーマ選び

ポイント:"正しい"だけではない、"伝わる・納得される"日本語を目指します。


共通して心がけていること

どのレベルにも共通するのは、「学習者が主役になる時間をつくること」です。
講義だけでなく、学習者が話す・書く・聞く・読んで考えるアクティビティを必ず取り入れることで、学習の実感が深まります。

また、フィードバックの仕方もレベルに応じて調整しています。
初級ではやさしい日本語で丁寧に。上級では、自分で誤りに気づけるようにヒントを与える形で伝えます。


最後に

授業設計は、単に「教案を書く」作業ではありません。
目の前の学習者が、今どこにいて、何が必要なのかを見極めながら、一人ひとりの"できた!"につながる授業を組み立てること。それが、日本語教師の大切な役割のひとつだと感じています。

これから授業づくりに取り組む方にも、少しでも参考になれば嬉しいです!