大阪校ブログ
"沈黙"も会話の一部?
2025.10.15
日本人特有の「あえて言わない」文化と非言語コミュニケーションの大切さ
日本語教育の現場では、「話す」「聞く」「読む」「書く」という4技能がよく取り上げられますが、実はもうひとつ大切な要素があります。
それが----「沈黙」や「間」など、非言語のコミュニケーションです。
日本語の会話は"言葉だけ"では成り立たない
日本人同士の会話をよく聞いてみると、
・相手が話し終える前にうなずく
・短い沈黙のあとに「そうですね」と返す
・あえてはっきり言わずに「まあ...そうかもしれませんね」と濁す
...といった「言葉以外」のやりとりがたくさん見られます。
これらは単なる"間"ではなく、
相手を尊重し、空気を読む日本文化の一部でもあります。
学習者にとっての「沈黙」は戸惑いの原因にも
一方で、日本語を学ぶ留学生からはこんな声も。
「相手が黙っていると、怒っているのかと思った」
「YesかNoか言ってくれないから分からない」
日本人にとって自然な「沈黙」や「あいまいさ」も、
文化が違えば"無反応"や"否定"と受け取られてしまうことがあります。
教える側にできる工夫
日本語教師として、この"非言語の要素"をどう伝えるか。
ポイントは以下の3つです。
① 相づち・表情・間の取り方を実演して見せる
「へえ〜」「そうなんですね」などの相づちを入れるタイミングを、
実際の会話例で見せてみましょう。
映像教材やドラマの一場面を使うのも効果的です。
② 沈黙の意味を明確に伝える
沈黙=ネガティブではなく、
「考えている」「相手の言葉を受け止めている」などのサインであることを説明します。
③ ロールプレイで体感させる
学習者に"日本人役"をしてもらい、
沈黙を入れた会話・入れない会話の違いを体感してもらうと理解が深まります。
"言わないこと"も伝える力
日本語の会話は、言葉にしない部分にもたくさんの情報が詰まっています。
沈黙の間に「相手の気持ちを考える」「場の空気を読む」という文化が息づいているのです。
だからこそ、日本語教師は----
言葉の使い方だけでなく、「沈黙の意味」も教えられる存在でありたいですね。
まとめ
-
日本語では「間」や「沈黙」も重要な会話要素
-
学習者は沈黙を"否定"と誤解しがち
-
教師は相づち・表情・間の取り方をモデルとして示すことが大切
今後の授業づくりでは、「何を話すか」だけでなく、
「どんな間をつくるか」にも目を向けてみてください。
その"沈黙"こそが、学習者に"日本語らしさ"を感じさせる瞬間になるかもしれません。
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