大阪校ブログ
学習者の「なるほど!」を引き出す \ 日本語教師のためのフィードバックメソッド集 /
2025.08.01
こんにちは!
「文法ミスを見つけたけど、どう直してあげればいいのか迷う...」
そんな経験、ありませんか?
学習者の発話は、たとえ誤りがあっても大切なアウトプットの機会。
だからこそ、「自信を失わせない」かつ「正しく導く」フィードバックが求められます。
そこで今回は、日本語教育でよく使われる代表的なフィードバック方法と具体例をご紹介します。
◆ 1. 明示的訂正(Explicit Correction)
誤りをはっきりと指摘し、正しい言い方をその場で示す方法です。
例:
学習者「私は毎日、コーヒーを飲みますした。」
教師 「『飲みますした』は間違いですね。『飲みました』が正しいです。」
ポイント:
・学習者がすぐに誤りを認識できる
・中級以上や試験対策には特に有効
・ただし、繰り返しだと"ダメ出し感"が強くなることも
◆ 2. リキャスト(Recast)
誤りを直接指摘せず、自然な会話の流れで正しい言い方を"さりげなく"示す方法です。
例:
学習者「これは、おいしいのりんごです。」
教師 「そうですね!これはおいしいりんごですね。」
ポイント:
・初級者や会話中心の授業で効果大
・流れを止めずに正しい形を"浴びせる"ことができる
・ただし、学習者が訂正に気づかないこともあるので要注意
◆ 3. プロンプト(Prompt)
学習者自身に誤りに気づかせて、自力で修正できるように導く方法です。
例:
学習者「私はきのう、ラーメンを食べるました。」
教師 「"食べるました"...ちょっと変ですね。動詞の形、どうかな?」
→ 学習者「...食べました?」
ポイント:
・自律的学習を促進できる
・学習者のレベルや気づきやすさに応じてヒントの出し方を調整
・「間違っても大丈夫」という雰囲気づくりがカギ
◆ 4. メタ言語的フィードバック(Metalinguistic Feedback)
文法用語や説明を加えて訂正する方法です。中上級向けの指導でよく使われます。
例:
学習者「明日、行くつもりでした。」
教師 「"でした"は過去形ですね。でも、"明日"は未来の話なので、"つもりです"を使います。」
ポイント:
・ルールの理解を深めたいときに効果的
・試験対策や書き言葉の授業などで活用しやすい
◆ 5. 明確化要求(Clarification Request)
学習者にもう一度発話させることで、自分で見直すチャンスを与える方法です。
例:
学習者「きょう、たべました ラーメン。」
教師 「えっ?もう一回、ゆっくり言ってくれますか?」
ポイント:
・伝わらなかったときの自然なリアクションとしても使える
・焦らせず、学習者に考えさせる間を与えることが大事
◆ 6. 繰り返し(Repetition)
学習者の誤った発話をそのまま繰り返すことで、違和感を気づかせる方法。
例:
学習者「私は日本で、たべました映画。」
教師 「たべました映画?」(語尾を少し強調)
ポイント:
・不自然さを本人が感じ取ることを狙う
・初級者には伝わりづらい場合もあるので、他の方法と併用が◎
フィードバックを成功させる3つのポイント
-
相手のレベルに合わせて選ぶ
→ 初級者にはリキャスト、中級者にはプロンプトなど、柔軟に使い分けましょう。 -
伝え方はポジティブに
→ 「間違ってる」より「こうするともっと自然だよ」と伝えるだけで安心感が違います。 -
"伝わった成功体験"を優先
→ 「意味は通じてたよ!」をまず伝えてから訂正すると、自信を失わずに修正に向かえます。
最後に...
フィードバックは、学習者の"気づき"と"自信"を育てる大切なコミュニケーションです。
「正すこと」より「成長を促すこと」を意識するだけで、学習者の表情も、教室の雰囲気も変わってきますよ。
ぜひ、いろんな方法を試して、"あなたらしいフィードバックスタイル"を見つけてみてください!
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