以前、日本語教師は民間資格でしたが、日本語教師が国家資格へ格上げされる動きがあり、2023年5月に法律が制定、2024年4月から施行されました。
- 2023年2月
- 日本語教師の国家資格化を盛り込んだ法案が内閣から国会に提出
- 2023年3月
- 日本語教師の国家資格化のための有識者会議の報告が文化庁から公開
- 2023年5月
- 「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」が成立
- 2023年6月
- 上記の法律公布
登録日本語教員とは、2024年4月から施行された日本語教師の国家資格です。
2023年5月26日の「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」により制定されました。
ここでは、日本語教師の国家資格となる「登録日本語教員」について解説していきます。
外国人に日本語を教える「日本語教師」を目指している社会人、学生の方は必見です。
以前、日本語教師は民間資格でしたが、日本語教師が国家資格へ格上げされる動きがあり、2023年5月に法律が制定、2024年4月から施行されました。
国家資格化にともない、日本語教師に求められる条件に変更点があります。
また、国家資格になることで、「日本語教師」という職業の認知度 や社会的意義、待遇の改善にも繋がることが期待されます。
日本語教師の国家資格化については、当時の情勢が背景にあるといわれています。
文化庁が公表した有識者会議の報告書にはその理由が次のように書かれています。
近年 、我が国に在留する外国人の数は急激に増加しており(令和4年6月末で約296万人)、これに伴い日本語学習者及び日本語教育機関も増加し続けている。留学生の増加とともに、「出入国管理及び難民 認定法」改正による在留資格の整備、技能実習 制度の創設や特定技能制度の創設等による外国人労働者やビジネス関係の外国人等の増加に伴い、(中略)今後も在留外国人数とともに、日本語学習者数は拡大する見込みである。
(中略)また、学習者数の 増加に伴い、日本語教育の担い手、特に日本語教育に関する知識及び技能等の専門性を有する人材の養成・確保が重要な課題となっている。
引用元:文化庁
つまり、日本に在留している就労目的の外国人の増加に伴って、日本語学習者を教える日本語教師が必要になっていたのです。
このような社会情勢を踏まえて、日本語教育が今一度見直されることになったのです。
そして、議論を重ねた結果、日本語教師の質や量の確保を担保するために日本語教師の国家資格化へとつながりました。
<関連記事>第1回:日本語教師が国家資格になる
ここからは国家資格「登録日本語教員」に変わったことの注意点について解説していきます。
押さえるべきポイントは以下の2点です。
それぞれ解説していきます。
まず、日本語教師になる方法が変わりました。
以前は日本語学校など教育機関による採用条件は存在したものの、日本語教師としての明確な資格や免許はありませんでした。そのため、420時間日本語教師養成講座などで専門の勉強した人も、専門の勉強をしたことがない人も、生徒さえいれば同じ「日本語教師」という肩書で仕事ができたわけですが、国家資格化により変わってきます。
2023年6月に公布された法律では、
『第十七条
日本語教員試験(日本語教育を行うために必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するために行う試験をいう)に合格し、かつ、実践研修(認定日本語教育機関において日本語教育を行うために必要な実践的な技術を習得するための研修をいう)を修了した者は、文部科学大臣の登録を受けることができる。』
引用元:文部科学省
と書かれています。
つまり「登録日本語教員」という国家資格を得るためには、「日本語教員試験の合格」と「実践研修(教育実習)の修了」の2つを満たすことが必要になるということです。
日本語教員試験では、「基礎試験」「応用試験」の2種類を受ける必要があります。これまでの420時間養成講座でも学士取得以上の方や、登録日本語教員養成機関の認定がある日本語教師養成講座を受講していると、「基礎試験」は免除になり、「応用試験」の合格だけでよいことになっています。
また、「実践研修(教育実習)の修了」についても、登録実践研修機関の認定のある講座での教育実習を行うことで、免除される(養成講座などでの教育実習を実践研修として扱う)ことになっています。
また、ここで言う「日本語教員試験」というのは、現在民間機関で実施している「日本語教育能力検定試験」とは異なる、国が実施する新たな試験です。「日本語教育能力検定試験」は登録日本語教員を取得するための試験ではないので、注意してください。
建築士や公認心理士などの国家資格は資格取得後の更新が必要であるため、日本語教師の国家資格も更新が必要という話も聞かれますが、実際はどうなのでしょうか。
結論からいえば、有識者会議でまとめられた報告では 「更新は不要」とのことです。
ただし、文化庁有識者会議の報告には
国が創設する資格を有する者として国に登録した日本語教師(以下、「登録日本語教員」という。) に対して(中略)登録後のキャリア形成に資する仕組みとして検討する
引用元:文化庁
と書かれていますので、登録日本語教員としてのキャリアアップのためにも継続的な自己研鑽が求められています。
日本語教師の国家資格の取得条件は以下の通りです。
それぞれ見ていきましょう。
制定された法律では登録日本語教員になるための試験について、次のように書かれています。
「日本語教員試験(*1)に合格し、かつ、実践研修(*2)を終了した者」(第17条)
(*1)日本語教育を行うために必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するために行う試験
(*2)認定日本語教育機関において日本語教育を行うために必要な実践的な技術を習得するための研修
引用元:文部科学省
こちらの図を見ながら解説していきます。
試験は「基礎試験」、「応用試験」の2種類があります。
日本語教員試験は、2024年11月に初めて実施され、今後も同様であれば8月~9月上旬までに出願、11月に試験、12月末に試験結果発表となる見込みです。
試験方式は、「多肢選択式」の筆記試験で、「論述形式」ではありません。
今後も試験は年に1回以上、全国各地で開催されます。
受験要件はありません。学歴や年齢、国籍も不問です。
実践研修とは、実際に外国人に日本語を教える「教育実習」のことです。
教育実習は以下の6ステップからなることが発表されています。
さらに 、留学生だけでなく、就労者、生活者など「対象別、レベル別、言語活動別の指導力を育成する多様な教育実習」を行うことが望ましく、「教壇実習においても対面授業とオンライン授業ができることも重要であり、オンラインでの実習についても、その具体的な在り方も含め検討する」としており、教室での対面授業だけでなく、オンライン授業もできる教師の育成が求められています。
今回の法律の制定は、「登録日本語教員」という国家資格だけでなく、日本語を教える日本語教育機関の認定を含んだものです。そもそも教師の国家資格化だけではなく、「国が日本語教育機関を認定して教育の質を保つ」ことが目的となっているため、教師だけでなく教育機関も「認定日本語教育機関」を認定することになっています。
法律の本文を読めば分かるのですが、法律の章立て自体がこのような流れになっています。
ただし、日本語を教える機関の中で「認定教育機関」となる必要があるのは、いわゆる日本語学校(現在の法務省告示校)です。「留学」のビザで入国している外国人たちの学ぶ場所である日本語学校は「認定教育機関」となる必要があり、そこで教える教員は「登録日本語教員」の国家資格をもっていなければいけません。
といっても、最初から資格をもった人はいないので、2029年3月31日まで登録日本語教員以外の日本語教師が働くことを認める経過措置がとられています。
すでに養成講座を受講し終えていたり、日本語教育能力検定試験に合格していたり、また、既に現場で働いていたりする現職の日本語教師はどうなるのでしょうか。
現職教師が国家資格の登録日本語教員になれず、日本語教師の数が減るようでは、資格創設の目的に反するため、
法施行前から大学、大学院、短期大学、文化庁届出受理日本語教師養成研修機関(420 単位時間)の日本語教師養成課程に在籍しているものについては、当該養成課程が、指定日本語教師養成機関(注1)と同等と認められる一定の要件(平成31年審議会報告で示された「必須の教育内容」50項目を既に実施していることなど)を満たす場合には、同様に筆記試験①(注2)の免除を認めるなどの経過措置について検討する
引用元:文化庁
と、文化庁の報告でも試験や教育実習の免除をはじめとした経過措置が設定されると述べています。
つまり、法施行時(2024年4月)に420時間養成講座や大学などの養成課程を受講中である人も基礎試験が免除されるため、受けている講座、課程が無駄にならないように配慮されています。
(注1)2023年2月の文化庁報告では「指定日本語教師養成機関」と表現されているものは、2023年6月に公布された新法律で「登録日本語教員養成機関」と表現されているものと同じものです。
(注2)2023年2月の文化庁報告では「筆記試験①」と表現されているものは、2023年6月に公布された新法律で「基礎試験」と表現されているものと同じものです。
ここでは日本語教師の国家資格である「登録日本語教員」について解説しました。
国家資格になった理由や注意点、取得条件がわかっていただけたかと思います。
国家資格になり、日本語教師になるハードルはいっそう高くなったように感じるかもしれませんが、国は単に日本語教師になる条件を決めるのではなく、国家資格を持った日本語教師が専門家として活躍できる場の確保も制度に盛り込み 「新制度の実現を通じて、日本語教師の活躍の場が広がり、質が確保された日本語教育の一層の充実が図られること 」を目指しています。つまり、それだけニーズがあるのも事実です。
私たちルネサンス日本語学院は文部科学大臣により認定を受けた機関として開講した「登録日本語教員養成・実践研修コース」を通して、これから日本語教師を目指す方の、さらなる飛躍を応援しています。